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熊本を応援し続ける芸人、ウーマンラッシュアワー『村本大輔』とは

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「あ、こんにちは。おしゃれですね。あれ?髪型も変わってる!」

2018年4月8日、熊本市内某所。こちらの変化に気付いて、それを言葉に出しながら現れたのは、あのウーマンラッシュアワー村本大輔さん。言わずとも知れた芸人です。お会いして早々に

なに、この感じ良い人

と思う訳です。ちょっとした女性の変化に気付き、そして素直に口に出せる男性。お会いした村本さんは、静かで穏やかな口調、そしてニコニコなので、テレビの中で観ていた早口でまくし立てるように喋る村本さんの印象とは180度違いました。そして、有名な方なのに気取った感が全くなくとってもフレンドリー。

赤ちゃん

村本さんと言えば、熊本地震後、益城町で独演会を開催したり、実際に被災した住民の方々と西原村にある居酒屋で対談したり・・・と、継続的に熊本を訪れていらっしゃる芸人です。それから、記憶に新しいのは、2017年12月17日に放送された「THE MANZAI 2017」(フジテレビ系)で、熊本や東北の被災地や原発など政治ネタを盛り込んだ漫才が反響を呼びました。

あの放送を見た西原村でカレー店『chang-PLANT(チャングプラント)』を営む長島さんは、「あれ(熊本をネタにしてくれた事)は本当に嬉しかった!すっかり、むらもっちゃんのファンになったよ〜」と言われていました。

村本さんが全国各地で精力的に開催している、長すぎて覚えられないタイトルがつく『独演会』には、毎回、村本さんのファンの方たちが老若男女問わず、電車に乗って、飛行機に乗って、フェリーに乗って、駆け付けています。

なぜ、そんなに人気があるのか・・・

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その村本さんが、熊本で独演会を開催するというので、お話を伺うことに。

「吐き出すのが僕の仕事」

「日本では、社会問題は自分たちとは全く違う別のもの、気難しい人が考えるもの、って切り分けている気がするんですね。僕は、知識というか『知ること』に興味があって、知って、それにマイクを使って『触れたい』。テレビを見ない、新聞しか読まないような大人たちが笑えるような笑いをやりたい。社会問題について、社会っていうのは僕らのことですよね。だから、僕らの問題なんですよね。『僕らの問題』を歌手は歌うし、絵でも風刺で描いたりする。じゃあ、それがお笑いでってなると・・・ただただバカバカしいものになってしまう。せっかく人として生まれてきて、いろんな事を知るんだったら、いろんな事を『吐きだす』っていうのが僕の仕事のスタンスです。それで、たまたまそういう仕事の機会がありました。だから社会問題を漫才にしてみたんです」

と村本さん。大きな反響があった「THE MANZAI 2017」(フジテレビ系)を見た人たちからは、実際にどんな声が届いたのでしょうか?

IMG_4968今回、熊本で開催された独演会で語る村本さん

「大人にはお笑いの面白さを、子どもには社会問題を漫才で」

「子どもたち、高校生や大学生から『まだまだ熊本や東北が問題があるという事を、あの漫才を見て知りました』って言われたんです。漫才を見て社会問題を知ったって。この間、僕がアメリカに行ったときに『日本にいる父親から村本さんの動画が送られて来ました』って、アメリカに住んでいる大学生から声かけられたりとか。そして、さらに嬉しかったのが、この間、居酒屋で飲んでいたら隣の席にいたおっちゃんが『あなたはあの漫才をした。子供からお父さんコレ面白いから見て!って、あの動画が送られてきた』って。大人と子どもが、子どもは大人に、大人は子どもに送りあって。大人はこう言うんですよ。『お笑い番組ってつまらなくて全く見ることなくなったけど、あれで、漫才って、お笑いって面白いって思った』って。大人にはお笑いの面白さを伝えて、子どもには社会問題を漫才で伝えたんですよ。その時に、『あ、僕のやりたいことだな』っていうのがあって」

そう嬉しそうに話す村本さん。実は、数年後にはアメリカへ行くのだとか・・・。

「今、やりたいこと」

「2年後ぐらいにアメリカに行きたいっていうのがあって。予定ですよ?それまでに、今は、一本でも多くのテレビに出るよりも、なるべくたくさんのネタをつくって。正直、僕のネタは日本では流せないネタです。流せないというか、今のテレビではリスクが大きい。とにかくリスクが高い。社会問題なんか入れると。冗談でうっすらやる芸人はいますよ。でも、あまり抉り過ぎるとうるさい人の数も増えてしまう。テレビでやるのも嬉しいんですけど、それよりもネタをいっぱいつくって、あちこちでやって、自分のコメディの腕をあげて」

と大きな目標を持つ村本さん。自分の信念を固くお持ちです。でも、その信念をつくるエネルギーは一体どこから。

IMG_5003ステージから降りて観客席で吠える村本さん

「夢を見なくなったら死んだも同然」

「この間、親戚のおっちゃんが亡くなったんですよ。その時に駆け付けた訳です。その時、親戚のおばちゃんがいてて『最近テレビから干されてるんやって?ネットニュースで見たで』って言われた訳ですよ。『この先アメリカ行くの?英語喋れるの?』って笑われたんです。僕は、その笑われた意味が全く分からなくて。そのおばちゃんからは、夢を見るのは20代までだって昔から言われてて。過去にそのおばちゃんが夢を叶えられなかったかなんか知らないけど、俺とアンタを一緒にするなって思う訳ですよ。僕は夢を見なくなったら死んだも同じで。不可能だって言われることに、なるべく挑戦して、自分の可能性にかけて不可能を可能にしていきたい。そうやって時間を過ごしていきたい。それが僕の幸せな訳です。夢を見るのが僕の幸せなのに、夢を見る事を取り上げようとして・・・人から幸せを奪うのと同じなんですよ」

そう熱く、真剣に語る村本さん。そんな村本さんは、どうして熊本地震から2年のタイミングで熊本で独演会を開催しようと思ったのでしょうか。

「やりたい仕事をやる!それしかない」

「熊本でやろうと思ったのは・・・。『不幸』なんてもんは後からつけた『理由』にしか過ぎなくて、家が無くなったから学校行くの諦めるとか、夢を諦めるとか、家族を失ったから諦めるとか、そういうのは後付けの理由。諦める人は、もし、地震がなかったとしても他の理由で諦めてしまうって思う訳ですよ。僕なんて家あったし、家族もいなくなった訳じゃないけど、芸人になりたいって言った時に『お前は面白くないから無理』とか『クラスで目立たないから無理』とか、無理な理由を探されましたよね。だから、そういう風な大人が周りにいる子どもに向けて言ってるし、親に向けて敢えてディスる感じでも言ってるし。17歳でお笑いを目指した時から一切ブレてないんです。当時から『飯を食うために生きてない』って親に言ってた訳です。やりたかった事が結局、飯が食えてるっていう感じになってると思うんで。『やりたい仕事をやる』それしか無い!って」

IMG_5007独演会の時にはワインボトルを片手に語ることも。時には観客もお酒を飲みながら聴くことができるのが村本さんのスタイル

「悲しみは笑いで共有する」

「過去にテレビ番組に出演したことがきっかけで、ある番組に出演できなくなった出来事があった。でも、僕にとって、そういう出来事っていうのはありがたい最高な出来事な訳です。だって、だってですよ?抑圧されて世間から排除されて、そういうことがあったのは悲しいし、悔しいけど、笑い話にしてスカッとできるんです。きっと差別とか不条理な出来事を経験してる人っていうのは、絶対にこのやりようのない気持ちを笑い話にしてるはずなんです。かつて黒人の人たちが差別されてきたように。彼らのコメディは、めちゃくちゃ面白いんですけど、どこか切ない訳ですよ。で、この間、番組の収録で気仙沼に行った時に聞いたんです。きっと、僕が感じているように、同じ事を感じているんじゃないか、って。津波で大切な家族を亡くした方々と色んな話してきましたよ。やっぱりみんなツライことを笑い話にしていた。津波で流された最後の会話が何だった、とか。みんな笑う訳です。でも、なぜか最後にはあったかい涙が溢れてるっていう。みんな溜め込んでいることは、笑いにする。悲しみは笑いで共有する。それが僕の仕事」

お話を伺っていたコチラが涙ぐんでしまった。何だろう、お笑いって。お笑いって、伝えるための『方法』なんだ、と村本さんのお話を伺って感じました。
熊本の皆さんへメッセージありませんか?と聞くと・・・。

「熊本県知事は、益城町の岡本プリンに来てください」

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村本さんにとって、『伝える』っていうのは。

「分母を広くしていく」

「伝えるっていうのは大事。今回の独演会に忙しい中で来てくれた堀さん。堀さんは『伝える人になろう講座』をやってるんですね。伝えることっていうのは広がり。どうやったらより強く広がるのか。声をあげると、どこかで僕みたいな芸人だったり、漫画家だったり、映画監督だったり・・・。色々な人に繋がる訳ですよ。繋がると分母が広くなる。そうすると、知る人が増えていく。それが大事」

IMG_4959熊本地震後から情報発信の支援を続けているジャーナリスト堀潤さんが前説に。わずか1時間半ほどの滞在時間で東京へ戻られました

一体、一見誤解されがちで炎上芸人と呼ばれるけど、実は、こんなにあったかい想いやりがある村本さんを育てたお母様は、息子である村本さんの事をどう思っているのでしょうか?

「この世は地獄です」

「母は、『あんたが本音で喋るから響くんよね〜』って言ってましたね。誤解されないようにしようと思ったら、言葉が薄くなってくるからですね。人に好かれようと思って喋ってないので。昔から、僕は大袈裟だったんです。ちょっと風邪引くと休む、みたいな(笑)この世は地獄です。だからそれを楽しむしかない」

IMG_5783熊本での独演会後、まだ復興途中にある南阿蘇村の地獄温泉『清風荘』の河津さんやペンション『野ばら』の栗原さんと語り明かしたのでした

村本大輔という人を一言で表現すると、泥臭い、人間くさい、現代人が持っていない人間くささを持つ人、そんな言葉が思い浮かびます。
お忙しいなか、お時間を頂きありがとうございました!

「村本さん、今度は阿蘇でお待ちしています!」

村本さんの独演会に参加されたことのない方、ぜひ一度行ってみられてください。
目からウロコです〜。

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